オランダの作家レオ・レオニの『スイミー』
みんなが知っているような有名なお話ですよね。
さて、このページにたどり着いた方は、私と同じように『これどう見てもウナギじゃなくてウツボだろ!』
と思った方ではないでしょうか?
ここでは、どうしてこんな日本語訳になってしまったかということについて検証していきたいと思います。
スイミーに出てくる「ウツボ」っぽい「うなぎ」
今回問題となっているのはこちらのページです。
みなさんいかがですか?
「うなぎ」と「ウツボ」のどちらに見えますか?
おそらく100人中100人が「ウツボ」と答えると思います。
結論から言うと「ウツボ」です。
ちなみに出版社である「好学社」の公式回答は「うなぎ」だそうです・・・。
電話で確認をしてくれた方がいらっしゃいます。
出版社の人も内心、ウツボだと思っているはずですが、修正できないなんらかの事情があるのでしょう。
では、どういう経緯でこのような誤訳となってしまったのかを調べていきましょう。
スイミー作者のオランダ語では「うなぎ」と「ウツボ」は何ていうの?
まずは、レオ・レオニの国であるオランダ語バージョンのスイミーを探してみましたが見つけることはできませんでした。
ですので、とりあえずうなぎとうつぼを日本語-オランダ語変換で調べてみました。
うなぎ・・・paling
ウツボ・・・murene
原作ではどちらが使われているのでしょうか?
palingが使われていたとしても広域のうなぎ目という意味でつかわれていた場合、うなぎやウツボやあなごや海へびなどすべてが含まれていることになります。
スイミー英語バージョンで使われている「eel(うなぎ)」とは?
こちらは、英語バージョンのスイミーの該当ページになります。
「eel」という表現になっていますね。
「eel」とはどういう意味なのでしょうか?
調べてみました!
wikipediaの英語ページでeelを調べると「any fish belonging to the order Anguilliformes」とあります。
「Anguilliformes目に属する魚」という意味ですね。
「Anguilliformes目」とは、日本語では「ウナギ目」になります。
日本語圏だと「eel=ウナギ」という認識が一般的ですが、英語圏では「eel=ウナギ目の総称」という認識が一般的のようです。
ウナギ目にはウナギ・ウツボ・アナゴ・ウミヘビが含まれます。
つまり、へびのような細長い魚のことをまとめて「eel」と呼んでいるわけですね。
ですので、絵がウツボになっている以上、訳もうなぎではなくウツボにしてほしいところです。