お盆のお供え物に込められた意味とは?何故お供えするの?

日本の風習の1つである「お盆」。

この時期は、ご先祖様の霊があの世からこの世へ戻ってくる時期であるとされており、お供え物をしたり、ご先祖様が家に戻ってこれるように灯りをともしたり、地域の風習に合わせておもてなしや供養をしたりして過ごしていきます。

その際にお供えするものは、故人が好きなものを用意することも多いですが、お盆にちなんだお供え物がいくつかあります。

そこで今回は、お盆の時期によくお供えする定番のお供え物をご紹介します。

お盆の基本的なお供え物

お盆と一言で言っても、その過ごし方は地域や宗派によって多少異なってきます。

ですが、どの地域や宗派でも、仏壇の前には「五供」(香・花・灯燭・浄水・飲食)と呼ばれるお供えものをしていきます。

では、その五供というのは具体的にどのようなものなのかをご紹介します。

①香

「香」というのは、一般的にお線香のことを表します。

ご先祖様や仏様にお線香の香りを楽しんでもらうためにお供えしていきます。

他にも、お供え物をする人や家族の身を清める意味もありますし、お線香から出てくる煙がこの世とあの世を結び付けるための架け橋であるという考えもあります。

このように、お線香にはご先祖様や仏様を迎え入れるために必要なもので、様々な意味が込められているので、他の五供のお供え物をしたら、最後にお線香をあげておきましょう。

②花

故人にお花をお供えをすることも多いと思います。

花は見た目もとても美しいものですが、花の香りもまたご先祖様や仏様が喜ぶものとなっています。

極端に香りが強いものであったり、ツルが長いタイプの花はお供えするのは避けた方が良いですが、基本的には故人の方が好きそうな花をお供えしておきましょう。

また、他にも注意してほしいのが薔薇などの棘があるものは、血が流れることが連想されるので、敬遠されてしまいがちです。

基本的に誰が見ても心が落ち着くような花を選ぶように意識していきましょう。

灯燭(とうしょく)

灯燭というのは「ロウソクを灯すもの」という意味で使われていますが、五供でいう灯燭というのは「世の中全体を照らすもの」という意味が強いです。

古来仏教において、灯燭の灯りは迷いをなくしていくものと言われています。

それと、ロウソクの灯りのように穏やかに光を放っていき、次第に燃え尽きるという様子が人生の無常を表しているとも考えられています。

そういった意味でも、この灯りというのは、ご先祖様や私たちにとって大切なものとなっています。

浄水

ここでいう浄水は「綺麗な水」という意味が込められています。

というのも、故人は喉が渇きやすいと言われています。

なので、お盆の時期では仏壇に必ず水をお供えしておきましょう。

ただ、宗派によっては逆に水を与えないという解釈をすることもあるそうなので、もし何かしらの宗派があるなら、お盆の準備をする前にお寺の方や詳しい人に相談をしておくと安心です。

飲食

五供において「飲食」は「おんじき」と呼ばれています。

基本的に飲食は、家族が食べているものと同じものをお供えしておくと良いでしょう。

お供えする際には、ご先祖様がすぐに食べられるように皿に盛りつけておきます。

また、お盆やお彼岸の時期にお供えする際には、一汁三菜をセットにしてお膳として用意していきます。

ご先祖様と一緒に食事を楽しむ大切な機会でもあるので、是非お供えをしておきましょう。

その他のお供え物や食べ物とは?

お盆の時のお供え物として、五供が非常に有名ではありますが、その他にもお供えするものはたくさんあります。

それに加えてお盆の時期に食べるものもいくつかあります。

どれも意味があるものなので、是非今年のお盆に用意してみてはいかがでしょうか?

精霊馬(しょうりょううま)

まずお盆にお供えをする定番のものといえば「精霊馬」です。

大体の精霊馬は、ナスやキュウリに割りばしやマッチ棒を差して足を作り、とうもろこしの毛の部分を尻尾に見立てて馬や牛を形作っていきます。

これを精霊馬と呼び、お盆の時期になるとご先祖様がこの精霊馬に乗ってあの世とこの世を行き来すると言われています。

基本的には「あの世からこの世へ来る時はきゅうりの精霊馬に乗って、早めに来てもらい、帰りはナスの精霊馬に乗って、お土産も一緒に乗せてのんびりお帰りいただく」といった意味が込められています。

なので、精霊馬を用意する際にはキュウリとナスをそれぞれ用意してあげると良いでしょう。

百味飲食(ひゃくみおんじき)

これは地域によって用意するお供えものです。

百味飲食というのは、ミズノコと呼ばれるお芋の葉っぱの上にみじん切りをしたナスやキュウリを洗い米に混ぜ合わせたものを作り、それと別の器に水を入れて、萩の箒を浸した後に、それを供物にそそいだお供え物のことを言います。

これによって、無縁である精霊を含めた万霊に対して供物を捧げることができるようになります。

そうめん・団子

仏壇にお供えする食べ物には、旬の野菜や果物をはじめ、故人が好きだった食べ物を供えるのが定番ですが、その他にもそうめんや団子や餅をお供えすることもあります。

そうめんをお供えする理由としては「子孫繁栄」や「喜びが長く細く続きますように」といった願いが込められているからと言われており、ご先祖様にお供えするのと同時に、縁起を担ぐといった意味があります。

そして団子や餅は、16日にお供えするのですが、これは「六地蔵様にお供えをするため」という意味が込められているので、基本的に6つお供えするようにします。

普段何気なくお供えしているものですが、こういった意味を知っておくと、改めて特別なものだというのを実感しますね。

お盆のお供え物の意味についてのまとめ

お盆は毎年くるものであり、日本ならではの風習です。

この時期はご先祖様や個人があの世から戻ってくる時期でもあり、特別な期間であることを毎年実感しますね。

そして、改めてお盆の時のお供え物について意味を知ると、どれも大切な意味が込められていることがわかりました。

今まで何となくお供えしていたものもあったと思いますが、今年は是非意味を知ったうえでお供えをしてみてください。

改めてお盆とはどのようなものなのかを考える良い機会になると思います。