お盆の時に行う迎え火・送り火とは?行う理由や手順をご紹介!

夏休みになると忘れてはいけないのがお盆。

この時期になると、ご先祖様や故人を迎えるために色々と準備をしている人も多いのではないでしょうか?

そんなお盆の風習の中には「迎え火」「送り火」といった風習もあります。

これは、ご先祖様や故人が迷うことなく家まで帰れるように、そしてまた元の世界に無事に戻れるように目安として焚火を焚いて目印を作るものです。

今回は、お盆の風習であるこの送り火や迎え火について、どういうものなのかをご紹介していきます。

送り火・迎え火とは何なのか?その手順は?

ではまず最初に、送り火や迎え火と何なのかということについてご紹介します。

迎え火というのは、お盆の時期にご先祖様や故人の霊を迎えるための目印として焚く火のことで、送り火というのは、お盆が終わる時期にご先祖様や故人の霊が無事にあの世へ戻れるようにするための目印として焚く火のことです。

今でこそ迎え火や送り火はお盆の始まりと終わりの儀式とされていますが、昔の日本では祖先の霊を鎮めるための供養として行われていました。

この迎え火と送り火の他にも精霊流しや精霊祭りといったものも行われていますが、これは亡くなられた方への鎮魂の意味もありますが、この世にある災いをあの世へ持っていってもらうという厄除けの意味もありました。

ちなみに、迎え火や送り火については宗派による違いはほとんどありませんが、地域によって方法は多少異なっていますので、もし知っておきたいのであれば、親戚の人などに相談をしておくと良いでしょう。

基本的な方法としては、素焼きの焙烙という皿に麻の茎を折って重ねて火をつけ、それを家の門や玄関の所に置きます。

元々麻には浄化の力がある植物とされており、悪いものを清める効果があると言われていました。

その麻を使って焚いた火は清浄な火とされており、迎え火としてピッタリな植物とされ、現在も使用されています。

ちなみに、この火種となるようなものはお盆が近くなった時期にお墓参りへ行くともらうことができます。

お墓参りの時に焚いた火をお線香やろうそくに移して持ち帰るのが通常です。

また、場所によっては火が焚けない所もありますが、その場合は盆提灯を代用として使います。

提灯を玄関先につるしておくことで、迎え火となり、ご先祖様や故人が迷わず帰ってこれる目印となります。

迎え火と送り火は、お盆の始まりと終わりに欠かせないということがわかりますね。

いつ行うものなのか?

基本的に迎え火は8月13日(旧暦7月13日)から行うのがしきたりです。

この日になったら迎え火を焚き、ご先祖様や故人を迎え入れた後に、感謝の気持ちを伝え、丁重なおもてなしをしていきます。

そしてお盆が終わる頃の8月16日(旧暦7月16日)に送り火を焚いて、あの世へ帰してあげます。

実は、このお盆は今でこそ8月に行うものというイメージがありますが、改暦があった明治時代以降では、地域によっては旧暦の時にお盆の行事を行う所もあります。

主に旧盆と新盆に分けて行われているのですが、旧盆の場合は旧暦に従って行うお盆となり8月13日~16日に行うお盆の行事は「月遅れのお盆」として行われるのが主流となっています。

この場合、先ほどご紹介したように、8月13日に迎え火を焚いて、16日に送り火を焚くようにします。

一方で新盆の場合は、旧暦のお盆を新暦になっても採用し、7月の中旬頃(13~16日頃)に行う地域もあります。

意外に思われるかもしれませんが、関東地方でもこの新盆を採用している地域が多く、7月13日~16日にお盆として過ごす所も多くあるそうです。

もし、自分の住んでいる地域でお盆はいつやるのか曖昧n場合は、しっかり親戚に聞いて間違いのないようにしておきましょう。

旧盆と新盆それぞれ取り入れている地域は?

では、何故地域によって旧盆と新盆として違う時期に行うのでしょうか?

現在の日本では、主に8月に行う旧盆が主流となっています。

これは、明治時代に改暦されたことによって、暦の国際基準化がされたことに伴い、日本の行事はそれぞれ30日遅らせることになったため、旧暦の7月15日からのものが新暦の8月15日になったのが大きな理由です。

しかしながら「明治時代になって新暦になったからお盆もその新暦に合わせてやろう」(旧盆)という考えのある地域もあれば「旧暦と時期も近いし、このまま旧暦で行うという形を残そう」(新盆)という考えがある地域もありました。

現在、新盆(7月)を採用しているのは、多摩地区の一部を除く東京、函館、金沢の旧市街地となっており、7月の新盆の時期になると、各地でお祭りなどが開催されています。

その他の地域では基本的に旧盆(8月)となっているようですが、お盆の考え方に関しては違いはほとんどありません。

迎え火や送り火の時間や場所は?

基本的に迎え火や送り火を焚く時間は、夕方~夜にかけて行うのが主流ですが、具体的に何時からやるべきといった決まりはありません。

というのも、同じ時間でもすっかり日没になっている所もあれば、まだ少し明るい所もあるからでしょう。

基本的には日没になりかけている時から準備を始めて、すっかり暗くなった時に火を焚くのがベストです。

迎え火と送り火を焚く場所についてですが、基本的にご先祖様たちが迷わないように家の前で行うようにします。

そのさいには近くに燃えるものがないかをしっかり確認してから行うようにしてください。

また、マンションや家の周りに草木がある等の理由で火が焚けないという場合は、盆提灯を吊るしておきましょう。

あくまでも近所の人に迷惑をかけないようにするのが大前提です。

少しでも火を焚きたいならば、お線香などを燃やしてあげると良いでしょう。

全国各地で行われている迎え火や送り火とは?

お盆の時期になると、全国各地でそれぞれお祭りの中で迎え火や送り火を行うこともあります。

その中でも特に有名なものが京都で毎年8月16日に行われる「五山の送り火」が挙げられます。

こちらは送り火のお祭りとして大々的に毎年行われているもので、これを見に京都へ足を運ぶ人も多いです。

これは「大文字」「左大文字」「妙法」「船形」「鳥居形」の5つがそれぞれの山に書かれており、それを火で灯していくものです。

その文字は遠くから見てもハッキリ見えるくらい大きいものとなっており、この大きな火の力でこの世の穢れを清めていき、ご先祖様たちをあの世へ丁重に送り出すのと同時に、厄除けをする意味合いがあります。

他にも青森県のねぶた祭りや、秋田県の竿燈まつりなども送り火・迎え火の風習と合わせて行われているお祭りとなっています。

送り火・迎え火についてのまとめ

送り火や迎え火はお盆に欠かせない風習の1つです。

新盆や旧盆によって行う時期は地域によって異なってはいますが、この風習については共通して行われているようです。

火を焚くことができない場所でも、盆提灯などで代用することもできるので、誰でもできるものでした。

これは、ご先祖様や故人が迷わずにあの世とこの世を行き帰りできるようにするためにも大切なものなので、是非、お盆の時期には送り火や迎え火を焚いてあげてくださいね。

また、全国各地でも送り火や迎え火に関するお祭りを行っているので、興味がある方は一度足を運んで見に行ってみてはいかがでしょうか?